たるみとは、肌の構造が緩むことによって発生する垂れ下がりのことをいいます。目の下には、眼窩脂肪(がんかしぼう)と呼ばれる脂肪組織があるのですが、この組織が突出して垂れ下がることによって発生するのが目の下のたるみです。
これは、涙袋とは少し違います。涙袋は目の下のまつげの生え際部分にある少し膨らんだ部分のことです。これに対し、眼窩脂肪は目袋とも呼ばれて、涙袋よりも下に位置します。
涙袋は笑顔の象徴ともいわれていてあるとかわいらしいイメージになりますが、たるみが発生して目袋が大きくなると見えにくくなってしまう部分です。目の下のたるみが気になる方はたるみの原因を知り、対策をとりましょう。
目の下のたるみの原因
紫外線
紫外線は肌に悪影響を与えることで知られています。これは、紫外線によって光老化と呼ばれる現象が起こってしまうからです。
紫外線には、最も波長が長いUV-A(紫外線A波)、次に波長が長いUV-B(紫外線B波)、最も波長が短いUV-C(紫外線C波)の3種類があります。
このうち、光老化によるたるみを引き起こすとされているのが、UV-Bです。ただし、UV-Aも皮膚の奥深くまで届く紫外線であることから、肌に悪影響を与えます。紫外線を浴びた肌は細胞が傷ついてしまい、炎症が起こったり、肌の潤い成分であるコラーゲンやエラスチンといったものが変性してしまったりする恐れがあります。
紫外線は夏場だけではなく1年を通して降り注いでいるものなので、その時々の紫外線量に合わせた適切な対策をとりましょう。また、紫外線は窓ガラスを通過することから、家にいる時も紫外線対策をとらなければなりません。外に出ないからといって何も対策をとることなく窓際で過ごしてしまうと、少しずつ紫外線の影響が蓄積してしまう可能性があります。
紫外線による影響は何年も経過してから現れることもあるので、特に紫外線対策をしていない方は現段階から気をつけるようにすると良いでしょう。
眼輪筋の筋力低下
眼輪筋とは、眼球を支えている筋肉のことです。この眼輪筋が加齢によって衰えてしまうと、目の周りにある脂肪を支えきれなくなって眼窩脂肪が突出し、たるみを引き起こしてしまうことがあります。なお、加齢によって眼輪筋の筋力が低下することもありますが、普段からあまり表情筋を動かさない方などは若くても眼輪筋が衰えてしまう可能性があります。十分注意しておきましょう。
それから、糖化に伴う老化にも注意が必要です。糖化とは、体内にあるタンパク質や脂肪が余分な糖と結びつくことによって起こる老化現象のことをいいます。酸化と同様に老化を加速させる大きな原因です。
例えば、ホットケーキを作るために材料を混ぜて焼くとキツネ色になりますが、これは糖とタンパク質が化学反応を起こし、糖化しているからです。これと同じことが肌で起こってしまうと老化につながります。
目の疲れ
目の疲れが目の下のたるみを引き起こすことがあります。目が疲れていると周囲で血行不良が起こってしまい、健康な肌を維持するために必要な栄養素が運ばれてきません。
これにより肌の新陳代謝機能であるターンオーバーが乱れてしまい、目の下のたるみに繋がってしまうことがあります。普段から目を酷使している方は十分注意しましょう。できれば定期的に目を休ませるようにすると、目の疲れを抑えることにつながります。
また、体内には血液とは別にリンパ液と呼ばれる液体がめぐっているのですが、このリンパ液には体内の老廃物を流す役割があります。ところが、リンパ液は血液のように一定の流れを持つ性質がありません。筋肉はリンパ液を流すポンプ作用を持つのですが、筋力が低下している場合はリンパの流れが滞り、むくみやすくなってしまいます。これが目の下のたるみを引き起こしてしまうケースもあります。
ハリの低下
人間の体には若々しい肌を保つための潤い成分として、エラスチンやコラーゲンといったものが存在しています。特に若い頃は十分な量のエラスチンやコラーゲンが存在しているので、念入りにお手入れをしなくてもピンと張った肌を維持できていた方もいるでしょう。
ですが、エラスチンやコラーゲンは加齢や皮膚の老化によって少しずつ失われていくものです。柔軟性が不足することによって目の下にたるみが現れたり、悪化したりします。
複数の原因を紹介しました。これらの原因が複数絡み合って目の下のたるみとなって現れることもあります。
目の下のたるみによる弊害
くま
くまも、たるみと同様の理由によって発生します。そのため、目の下のたるみと同時にくまが現れてしまう方もいます。
それから、くまにはいくつか種類があるのですが、その中でも「黒くま」と呼ばれる種類は皮膚のたるみやハリが減少したことによって発生するものです。寝不足や疲れが原因で発生する青くま、色素沈着や小さなシミによって発生する茶くまはメイクで隠しやすいのですが、黒くまは隠れにくい特徴を持ちます。
まず、仰向けに寝て鏡を確認してみましょう。この時、いつも目立つくまが消える場合は、目の下のたるみが原因で発生している黒くまであると判断できます。
小じわ
目の下のたるみが小じわを引き起こすこともあります。
目の下や目尻に発生する小じわの大きな原因は、乾燥です。特に目の周りの皮膚は薄いこともあり、丁寧に保湿をしなければすぐに水分が失われてしまいます。このことに加え、目の下がたるむとその影響で皮膚が引っ張られて小じわができてしまうこともあります。
乾燥対策をしっかり行っているにもかかわらず目の近くの小じわが目立つのであれば、大元の原因はたるみにあることを疑ってみましょう。
目の下のたるみを改善(ケア)する方法
目の下のたるみは、自分で対策を取ることも可能です。ここでは、目の下のたるみ改善のために実践していきたい方法について紹介します。
紫外線対策を徹底する
日焼け止めを使用する
紫外線は一年中降り注いでいるため、日焼け止めは必須です。特に目元の薄い皮膚は紫外線の影響を受けやすいので、日焼け止めをしっかりと塗りましょう。家の中でも紫外線は窓ガラスを通過するため、日中は日焼け止めを忘れずに。
帽子やサングラスを活用する
外出時には帽子やサングラスを使って、目元を紫外線から守ることが大切です。特にUVカット機能付きのサングラスは目元の皮膚をしっかりと保護してくれます。
眼輪筋を鍛えるエクササイズ
目の周りの筋肉を鍛える
眼輪筋を鍛えることで、目の下のたるみを予防・改善することができます。以下のエクササイズを試してみましょう:
1. 目をぎゅっと閉じて、5秒間キープします。
2. その後、目を大きく開いて5秒間キープします。
3. この動きを10回繰り返します。
このエクササイズは簡単でどこでもできるので、毎日の習慣に取り入れやすいです。
表情筋を活用する
普段から意識的に笑顔を作ることで、表情筋を鍛えることができます。笑顔を作ることで目元の筋肉が活性化し、たるみの予防に役立ちます。
目の疲れを取る
ホットアイマスクを使用する
目の疲れを取るために、ホットアイマスクを使用することをおすすめします。温かいマスクは血行を良くし、目の周りの血流を促進します。これにより、目の疲れが取れ、たるみの改善につながります。
目のストレッチを行う
目のストレッチも効果的です。以下の方法を試してみましょう:
1. 目を閉じて、目の周りを軽く指でマッサージします。
2. 目を大きく開き、上を見て5秒間キープします。
3. 次に、下を見て5秒間キープします。
4. 左右に目を動かして、それぞれ5秒間キープします。
このストレッチを1日に数回行うことで、目の疲れを軽減し、たるみの予防に役立ちます。
コラーゲンとエラスチンの補給
食事からの摂取
コラーゲンやエラスチンは、食事からも摂取することができます。以下の食品を積極的に取り入れましょう:
食品 | 栄養成分 |
---|---|
鶏の皮 | コラーゲン |
鮭 | エラスチン |
豚足 | コラーゲン |
野菜 | ビタミンC(コラーゲン生成を助ける) |
これらの食品をバランスよく摂取することで、肌のハリを保ちやすくなります。
サプリメントの活用
食事だけで十分な量のコラーゲンやエラスチンを摂取するのが難しい場合、サプリメントを利用することも一つの方法です。ただし、サプリメントの選び方には注意が必要です。
保湿ケアを徹底する
保湿クリームを使用する
目の下の皮膚は特に乾燥しやすいので、保湿クリームをしっかりと塗ることが大切です。保湿成分が豊富に含まれているクリームを選び、朝晩のスキンケアに取り入れましょう。
フェイスマスクを活用する
週に1~2回、フェイスマスクを使用することで、目元の保湿を強化できます。特にヒアルロン酸やコラーゲンが含まれているマスクを選ぶと良いでしょう。
適切な生活習慣を心がける
十分な睡眠をとる
睡眠不足は目の下のたるみを悪化させる要因の一つです。毎晩7~8時間の質の良い睡眠をとることで、肌の再生を促進し、たるみを予防します。
バランスの取れた食事を心がける
ビタミンやミネラルをバランスよく摂取することで、肌の健康を保ちやすくなります。特にビタミンCやビタミンEは抗酸化作用があり、肌の老化を防ぐ効果があります。
まとめ
目の下のたるみは、紫外線、眼輪筋の筋力低下、目の疲れ、ハリの低下など様々な原因によって引き起こされます。しかし、日常生活においてセルフケアを徹底することで、たるみを予防・改善することができます。紫外線対策、眼輪筋のエクササイズ、目の疲れを取る方法、コラーゲンとエラスチンの補給、保湿ケア、適切な生活習慣を心がけることで、目の下のたるみを効果的にケアしましょう。これらの方法を実践し、若々しい目元を保つためのセルフケアを続けていきましょう。